島本の会『私たちの海士町(社会編)』(仮)制作プロジェクト会議
読者の皆様は、子どもの頃に読んだ郷土資料を覚えていますか?
海士町でも数々の地域にまつわる記録が残されていますが、今まさに、それらの蓄積に連なる新しい郷土資料が生まれようとしています。
プロジェクトを推し進める島本の会は、"ふるさと"海士の姿をどのように紡いでいくのでしょうか?地域教育の一翼を担う教材制作の現場に迫ります!
1. 島本の会とは
教材づくりを通して海士町の歴史文化継承を目指すチームです。
現在は第2作となる『私たちの海士町(社会編)』(小学校3・4年生向け社会科の副読本)制作に向け、新たなプロジェクトが動き出しています。
<メンバー構成>
代表:村尾茂樹さん(顕彰事業検討委員長 / 隠岐神社禰宜)
編集長:水谷憲二さん(海士町教育委員会学芸員)
編集委員:海士町教育委員会スタッフ、株式会社隠岐桜風舎、中央図書 館、学校関係者、教育コーディネーター等
※編集委員は変動の可能性あり
<これまでの活動>
2023年2月に第1作となる『絵本・後鳥羽上皇物語』を発行しました。海士町に縁深い後鳥羽上皇を学ぶ入門書で、子どもから大人まで読みやすい①絵本②資料編の2部構成です。
①絵本では、後鳥羽様の誕生から承久の乱を経て隠岐でお亡くなりになるまでの生涯を、やわらかなタッチの絵と易しいことばで綴っています。
②資料編(サムネイル参照)では、後鳥羽様を取り巻く政治情勢から、隠岐までの道中、文化人としての功績などを詳細かつ分かりやすい項目に分けて解説しています。
町内各公共施設で閲覧でき、また全戸配布も行われ、海士町民なら誰もが知る一冊です。
>『絵本・後鳥羽上皇物語』出版会議の様子はこちらです!
2. 『私たちの海士町(社会編)』(仮)
タイトル案は、過去に海士町教職員会が発行した地域資料集『私たちの海士町』が元となっています。2003年版『私たちの海士町(4)』は小学校社会科の副読本として学校現場で長く活躍してきました。
しかし年月の流れとともに、統計データが古い、現存していないお店の名前が載っているなど近年の海士町の姿とずれが目立ち、今では使われなくなっていました。
地域の調べ学習で使える資料集のニーズが学校関係者間で高まる中、新たな副読本の制作に期待がかかっています。完成目安は令和6年度中、まだ計画は動き始めたばかりです…!
3. 当日の様子
総勢十数名のメンバーが長机を挟んで向かい合い、終始真剣な面持です。机上には参考として種々の社会科副読本が並べられ、参加者は時折それらを手に取り副読本へのイメージを膨らませていました。
初めに編集長の水谷さんより、副読本制作の決定に至るまでの経緯・意義の説明と、発行に際しての予算・部数・規格等の情報が共有されました。
一通り説明が終わった後は各参加者が質問・疑問点を上げ、副読本の内容や完成イメージの擦り合わせを行いました(例えば、"本"の形にするか、それともデジタル版にするのかという話題がありました)。異なる立場を持つ参加者から鋭い指摘が飛び交い、空気がピリッと引き締まります。
今回は編集委員のみの会議でしたが、今後は現場で実際に使う先生方に意見を伺い、連携して進めていきます。そしてゆくゆくは、副読本の内容に直結するような"海士"に関わる情報収集も行われる予定です!
>チームを導く編集長・水谷さんの記事はこちら!
4. 発信者から
会議全体を通して、一冊の本を作るために多くの人が協力していることを知りました。内容の質はもちろん、携わる方々の思いも大切にしたいなと感じました!
繰り返しになりますが、『私たちの海士町(社会編)』は小学校社会科の調べ学習への活用を前提として、幅広く情報収集が行われます。
その際、多角的な視点から様々な方法で"海士"を捉えることになりますが、そのまなざしは同時に副読本を読む人へも共有されます。つまり副読本は読み手に"海士"の見方を提示する、いわばガイドブックとなりうるため、偏りなく調査していきたいと思いました。
子どもたちは調べ学習の中で、どんな"海士"の姿を自らの目に映すでしょうか。沢山の見方を詰め込んだ副読本がその視野を広げる一助になるのなら、こんなに素敵なことはありません。
>執筆:須田
島前地域の制度「島体験」を利用し、インターン生として海士町教育委員会地域共育係で働いています。